学術集会長挨拶

 第13回日本在宅看護学会学術集会の学術集会長の清水準一です。

 今回の学術集会のテーマは「在宅看護、すぐそばに在る」としました。訪問看護の制度化から30年が経過し、全国に15000を超える訪問看護ステーションが開設され、その活動も地域の中で多様化、多機能化しながら定着してきました。また地域包括ケアシステムの概念が導入され、医療機関の外来部門や入退院支援部門、介護施設、看護小規模多機能型居宅介護や通所介護といった介護事業所など様々な場所で、幅広い年齢層と多様な状況にある対象者に看護職が在宅療養者の支援を行う時代になりました。

 その中で地域で暮らす方々の健康や生活を支える在宅看護が、質としても量としても十分にゆき届き、必要とする人たちのすぐそばに在る状態なのか、そして、10年、20年先までもその維持、向上ができ、すぐそばにあり続けられるのかといった点をテーマとして、今回の学術集会では必要と思われることを幅広く取り上げてゆきます。

 前回の学術集会は久しぶりの現地開催が組み込まれ、参加者同士の交流の機会となって大変盛会となりました。この点は、学術集会を開催する意義としてもとても大切な点だと思います。その一方で、前回の学術集会の参加者のアンケートではオンラインでの参加のご希望も多数ございました。在宅看護の特性上、地域から離れられないご事情のある参加者の方も多いかと思います。

 そこで、今回の学術集会は私が勤務する東京医療保健大学千葉看護学部がある千葉県船橋市の現地会場と遠隔でのハイブリッドでの開催として準備をしております。オンデマンドでの視聴時間も長めに用意する予定ですし、久しぶりに会場での演題発表や交流集会も開催する予定です。交流集会では、前回大会で取り上げられた話題などを更に掘り下げていただくもよし、これから始める研究の仲間を探すのもよしだと思います。学術集会は会員や参加者が主役ですので、是非、皆様の積極的なご参加をお願いいたします。

 なお、COVID-19への必要な感染対策も行ってまいりますが、状況によっては開催方法の変更を行う可能性がございます。その場合には、本ホームページ等でご案内致します。

 皆様のご参加を船橋でお待ちしています。

略歴

1996年 東京大学医学部健康科学・看護学科 卒業

2005年 東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻 満期退学

2004年 東京都立保健科学大学 講師(成人看護学)

2005年 首都大学東京健康福祉学部 准教授(在宅看護学)

2018年 東京医療保健大学千葉看護学部 教授(老年・在宅看護学)

 東京大学在学中より在宅ケアの活動に従事、卒業後、病院での臨床を経て訪問看護師として勤務。首都大学東京(現・東京都立大学)では在宅看護CNS課程の設立や教育に尽力した。生体肝移植ドナーの調査研究、介護報酬の改定にかかわる調査研究などに取り組んだ後、現在は地理情報システム(GIS)を用いたサービスの需給バランスの検討等の研究を行っている。看護師等国家試験委員など歴任。本学会副理事長。